中谷 割烹・料亭
2025.07.18
暑さがピークを迎えるこの季節、日本には古くから伝わる「食の知恵」があります。それが「土用の丑の日」に鰻をいただく風習です。
「土用」とは、季節の変わり目に設けられた期間のことで、特に夏の土用は一年の中でも最も体力を消耗しやすい時期とされています。そんな折、滋養豊富な鰻を食べることで夏バテを防ごうという習わしが、江戸時代より広まりました。ビタミンA・B群やDHAを多く含む鰻は、まさに“食べる薬膳”とも呼べる存在。暑さに疲れた体に、しみじみと力を与えてくれます。
うな重の美味しさは、ふっくらとした脂のりの良い鰻の身と、香ばしく焼き上げられた表面の食感、そして甘辛く深みのあるタレが織りなす絶妙な調和にあります。タレがしっかりと染み込んだ白米が鰻の旨味を余すことなく受け止め、さらに爽やかな山椒の香りが味わい全体を引き締め、後味に涼やかな余韻をもたらします。
夏の盛りにこそ味わっていただきたい、滋養と風味に満ちた鰻の一膳。心を込めた季節のおもてなしとともに、皆様のお越しをお待ちしております。