中谷 割烹・料亭
2026.09.23

朝夕の風に涼しさが増し、木々の葉も少しずつ秋の色へと移ろう十月。
実りの季節を迎えたこの頃、料理人が心待ちにする食材のひとつが「松茸」です。
松茸の魅力は、何といってもその気品ある香り。
土瓶蒸しの蓋をそっと開けた瞬間、ふわりと立ちのぼる芳香。炭火で焼けば香ばしさが重なり、炊き込みご飯にすれば、一粒一粒の米に秋の香りがやさしく移ります。
華美に飾り立てるのではなく、素材そのものが持つ香りを引き出す。そんな日本料理ならではの愉しみを、松茸は教えてくれるようです。
十月は、十三夜の月を愛でる「栗名月」の季節でもあります。
澄んだ夜空に浮かぶ月を眺め、秋の実りに感謝する。古くから受け継がれてきた日本の風情に思いを寄せながら、松茸に栗や銀杏など山の幸を添えれば、器の中にも小さな秋景色が広がります。
香りをいただき、季節をいただく。
一年のうち、ほんのわずかな間だけ出会える秋のご馳走です。
大切な方とのお食事に、ご家族のお祝いに、そしてご自身へのささやかなご褒美に。
深まりゆく秋とともに、旬の味わいをどうぞごゆっくりお愉しみください。
皆様のお越しを、心よりお待ち申し上げております。